那須町で起業するには? 別荘地・観光地で食べていく始め方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

那須高原の写真を眺めながら、いつかこの土地で自分の仕事を持てたら、と考える方は少なくありません。とはいえ、観光地で何を商売にすればいいのか、移住してから食べていけるのか、そこが見えないまま時間だけが過ぎていきます。

那須町は東京から新幹線と在来線で2時間ほど、別荘文化と関係人口の厚みがある土地です。だからこそ、いきなり移り住むのではなく、通いながら準備する道が現実的に取りやすい場所でもあります。

この記事では、那須町で起業するための手順を、順番に沿って整理していきます。

ポイント 那須町で起業する強みを知る

観光と別荘文化が二拠点起業の余地を生む土地

那須高原

那須町は栃木県の北端にあり、那須高原と那須温泉を抱える観光のまちです。東京駅から東北新幹線で那須塩原駅まで約1時間10分、そこから在来線やバスで町の中心部へ向かう動線が一般的です。半日で東京と行き来できる距離感が、那須で仕事を考えるときの土台になります。

人口の規模も知っておきたいところです。那須町の住民基本台帳人口は約2万3千人で、世帯数はおよそ1万1千世帯です。大都市ではない一方、限界集落のように小さいわけでもなく、地元の生活圏と観光客の往来が重なっています。

那須を語るうえで外せないのが観光の規模です。那須町の発表では、2025年(令和7年)の観光客入込数は約576万人、宿泊数は約205万人にのぼりました。前年を上回るペースで人が流れ込んでいます。

「人が来る土地」で考える意味

ここで大事なのは、那須が「お金がすでに流れている場所」だという点です。拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、起業を陣取りゲームにたとえて紹介しています。ゼロから人を呼ぶのではなく、すでに人とお金が動いている流れに、自分の小さな商品を置いていく。年間576万人という人の流れは、その「置き場所」として見ると、会社員が準備段階から関われる余地が大きいのです。

那須で起業を考えるなら、観光客と別荘利用者という二つの流れに、自分の経験をどう差し込めるかから発想すると現実的です。

ポイント 移住と創業の支援制度を押さえる

移住と創業で知っておきたい補助と相談窓口

那須高原

那須町には、移住と創業を後押しする制度がいくつか用意されています。代表的なのが那須町の移住支援補助金です。東京23区に在住、または東京圏から23区へ通勤していた方が一定の要件を満たして那須町へ移住した場合、世帯での移住で100万円、単身での移住で60万円が補助される仕組みです。年度によって要件が変わるため、申請前に那須町の最新案内を確認してください。

創業面では、栃木県の「地域課題解決型創業支援補助金」の交付決定を受けていることが、移住支援金の起業要件のひとつになっています。制度は年度ごとに金額や条件が動くため、申請を考える段階で最新の内容を窓口に確認しておくと安心です。

相談先がつながっている強み

那須町のもうひとつの特徴は、相談先が連携している点です。那須町は商工会・那須信用組合・日本政策金融公庫宇都宮支店と移住創業支援に関する連携協定を結び、移住して起業したい人の相談にワンストップで対応する体制を整えています。事業の相談と資金の相談を、別々に何カ所も回らずに進められるのは、準備を始める人にとって心強い環境です。

補助金や相談窓口は、何を売るかの方向が固まったあとに効いてくる道具だと考えてください。やりたいことが見えていない段階で窓口に行っても、担当者も具体的な助言を返しにくいものです。

  • 那須町移住支援補助金:
    東京圏からの移住で世帯100万円・単身60万円(要件あり)
  • 地域課題解決型創業支援補助金:
    栃木県の制度。移住支援金の起業要件にも関わる
  • 移住創業の連携相談:
    商工会・信用組合・公庫が連携しワンストップで対応

ポイント 那須に合うビジネスを設計する

関連購入で主商品の横に広げる那須型の商い

那須高原

那須でどんな商いが成り立つかは、観光客と別荘利用者という二つの流れから逆算すると見えてきます。那須高原は酪農やチーズづくりが盛んな土地で、農や食にまつわる体験への関心が高い地域です。たとえば都市部のスキルを活かしたWeb制作や撮影、移住者向けの暮らしサポート、週末だけのワークショップなど、小さく試せる形がいくつもあります。

「ついで買い」で商いを厚くする

ここで活きるのが、拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』に出てくる、ついで買いを設計する3つのパターンです。ひとつ目は副産物を売る考え方です。たとえばチーズ体験を主商品にするなら、撮影した写真データやレシピ集を別売りにできます。二つ目は満足度を高める追加物です。体験のあとに送る、地元の生産者を紹介する小冊子のような形が当たります。

三つ目は同じ価値をより高い形で届ける版を用意することで、平日限定の少人数プランや、別荘オーナー向けの貸切プランがこれにあたります。主商品ひとつで終わらせず、関連する小さな商品を横に並べていく。これが、人の流れが太い那須だからこそ効いてくる組み立て方です。

いきなり移住しない選択肢

那須には、移住の前段階として「通いながら関わる」道があります。別荘文化が根づき、東京と行き来しやすいぶん、週末や連休に那須へ通い、地域のイベントや生産者とつながりながら事業の芽を育てる進め方が取りやすいのです。会社員という立場を保ったまま、まず関係人口として現地に通うことから始める。そのうえで手応えが出てきたら、二拠点へ、さらに移住へと段階を踏めます。

  • 都市で培ったスキルをそのまま那須の事業者向けに提供する
  • 那須の食や自然を主商品に据え、関連商品を横へ広げる
  • 週末通いで関係人口になり、芽が出てから二拠点へ移す

ポイント 先輩がたどった準備の道のり

移住前1年の準備で月7万円台の受注に届くまで

那須高原

起業18フォーラムの会員さんに、都内のIT企業に勤める40代の田原さんという方がいます。最初は月に2、3回ほど休日に那須へ通い、自分のWeb制作スキルで何かできないかと漠然と考えていました。けれど、観光客向けのサービスをそのまま都市の感覚で組み立ててしまい、半年ほど反応が出ませんでした。

転機になったのは、那須の移住相談会で地元の宿のご主人と出会ったことでした。話すうちに、観光客ではなく地元の小さな事業者こそ発信に困っているとわかり、商品の向きを変えました。対象を観光客から地域の事業者に絞り直したことで、移住前の1年間の準備を経て、月7万5千円ほどの安定した受注につながりました。

田原さんは今も会社員を続けながら、那須と都内を行き来しています。現在は地元事業者のサイト運用に加えて、撮影データや更新サポートといった関連の依頼も受けるようになりました。最初の一歩は、相談会で生まれた一つの会話でした。

ポイント 那須で踏み出す次の一歩

まず学んでから制度と窓口を使う那須の順番

point

那須での起業を考えるとき、いちばん大切なのは順番です。まず起業18フォーラムの動画やセミナーで、自分が那須で何を売るのか、どんな事業が合うのかを整理します。方向が見えてきてから、移住相談会や商工会、補助金といった制度を道具として使う。この順で進むと、窓口での相談も具体的になります。

軽井沢で起業する手順|二拠点で始める現実的な進め方
金曜の夜、都内のオフィスで終電を気にしながら、軽井沢の高原の写真をスマホで眺める。「あの場所で、好きなことを仕

そして那須なら、一気に移り住む必要はありません。週末に通い、関係人口として地域とつながり、二拠点を経て、いずれ移住へ。お試し移住や期間限定の滞在も、無理のない選択肢になります。今日できることは、次の休みに那須へ足を運ぶ予定を一つ入れることだけで十分です。那須の人の流れは、準備を始めたあなたを待っています。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!